四季のはじまりに位置する「春」の語義は「晴る」と関連するとも、「はらふ」と同義であるとも、冬籠りから「撥(は)る」の意とするとも、また、最も普遍的な解釈の草木の根が「張る」からともいわれています。さらに「墾(は)るなり」説は、「春」が農耕に関係するもの(田畑を墾る意)であるならば、有力であるとされます。

 いづれにしましても、「春」の語義には、その前の季節に当たります「冬」のイメージが内部に秘められた感がするとしますと、これから表に表出しようとする勢い、動き、生命力など開放的、積極的、豊飽な意味合いが含まれていると申せましょう。

 その春を迎えるに当たって吉祥の絵画、および文様で装飾された工芸品を飾り、その一年間の無病息災、多福多寿を祈念する風習は、わが国に古くからあり、それは、今日でも行なわれております。

 今展は、吉祥を意味する美術品を展示し、新年の始まりを言祝ぐとともに、1月の初春から3月の孟春の詩節柄に合わせた作品もならべますので、季節感を心ゆくまでご堪能していただければ幸いに存じあげます。

 今年も宜しくお願い申し上げます。

主な展示品
※は前半に展示、◎は後半に展示。他は通期展示。ただし、展示の都合による一部の変更をご了承下さい。
  木島桜谷   「竹林白鶴」   大正時代
木島桜谷   「柳桜図」   大正6年(1917)
狩野芳崖   「寿老人」   明治10年代
原田西湖   「乾坤再明」   明治36年(1903)
    「枝垂桜蝶蜻蛉蒔絵香箱」   江戸時代
  仁清   「色絵鶏撮丸形香炉」   江戸時代
  重要文化財 板谷波山   「葆光彩磁珍果文花瓶」   大正6年(1917)
など
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